Label: NEUREC

(予約受付中 - 1月下旬入荷予定)

LAFMS文化をディープに伝え続ける伝道師"T・坂口"氏のレーベルNEURECより、Le Forte Fourの歴史的1st[Bikini Tennis Shoes]が初のCD化!!こちらのバーションには同内容のカセット版を同梱!!毎度の如く外箱付きの豪華装丁、Le Forte FourとLAFMSについて記した冊子が付属!!

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1975年にLe Forte Four は自主レーベルLos Angeles Free Music Societyから最初のアルバム “Bikini Tennis Shoes” をLPで出版した。

当時はChip ChapmanそしてRick、Joe、TomのPotts三兄弟から構成されていたLe Forte Four。1970年代のロックに辟易していた彼らは、自宅でもっと面白い音楽を作ろうと録音を続けていた。1973年にChipがカリフォルニア芸術大学（CalArts）に入学しMorton Subotnickが管理する電子音楽スタジオの使用を許可されたことから、彼らはBuchlaシンセサイザーなどの最新鋭の機器を用いた電子音楽作りを始める。それだけではなく彼らはスタジオに大量のガラクタを持ち込む。Buchlaシンセサイザーもガラクタも面白い音を出すための道具として彼らにとって同等だったようだ。そして1973年から75年の間に大量の録音が蓄積して行く。

1975年に、彼らは自分たちの録音をLPレコードで発表した。CalArts電子音楽スタジオでの録音だけではなく、日常的に作っていた奇妙な音群から厳選した内容のレコードだ。Chipは、どうしても自分たちの作品をレコードで出したかったのだという。Phil Spector御用達の一流スタジオでマスター・ディスクを作り、“Bikini Tennis Shoes” が世に出る。

Los Angeles Free Music Societyレーベルから出版されたこのレコードを聴いたTom Recchionは大いに喜んだ。そしてその名前を転用した協会を作り、面白い音楽を作っている人々で協働作業を行おうと言う。コンサートの主催やレコードの出版作業だ。こうして1976年の1月にLos Angeles Free Music Societyはレコード・レーベルから協働作業のために協会へと発展する。その時LAFMSが誕生した。

それなくしてLAFMSは誕生しなかったレコード “Bikini Tennis Shoes” は1975年に出版されたが、三年後にLos Angeles Free Music Societyレーベルは公式ブートレグという名目で Le Forte Four の “Le Forte Force” をLPで出版する。「人々から再発することを強要された」からという理由で “force” という単語がタイトルに用いられたのだという。内容は “Bikini Tennis Shoes” と同じだ。

その後、1996年にCortical FoundationとRRRecordsが協働で出版したCDボックス “LAFMS: The Lowest Form of Music” に “Bikini Tennis Shoes” の全内容が収録された。2017年にはSuperior Viaductのサブ・レーベルÉtats-UnisからLPで再発されている。この度、石崎信郎さんにリマスタリングを担当して頂き、NEURECから “Bikini Tennis Shoes” を初めて単独のCDで出版することとなった。Buchlaシンセサイザーの音にあるふくよかさを際立たせて欲しいという希望に石崎さんは最高の形で応えてくださったと思う。オリジナル盤が出版された1975年から50年後の2025年、半世紀経ったことを祝う再発でもある。

話は変わるが、その2025年に来日したJoseph Hammerは彼特有のテープ・マニピュレーションにBuchlaシンセサイザーを導入していた。なぜBuchlaシンセサイザーを使ったのかを尋ねると、「Buchlaシンセサイザーの音はカリフォルニアそのもの、それこそがカリフォルニア・サウンドなんだ。そんな音で自分の音を演奏したかった」と答えている。ならば “Bikini Tennis Shoes” もカリフォルニア・サウンドなのだ。1970年代のロックの失墜に対しLe Forte Fourがカリフォルニアの空気を充満させて反応した結果なのである。

ともあれ、このエディションは “Bikini Tennis Shoes” CD に “Le Forte Force” のカセットを付けたものである。内容は同じなのだが、カセットの音がとても良い。

本作品にはLe Forte FourとLos Angeles Free Music Societyについて和英両方で記した文章を収めたブックレット、およびオリジナル盤に付属していたライナー・ノーツを和英両方で記したブックレットが付属いたします。

文　坂口卓也 / NEUREC