Label: NEUREC

LAFMS文化をディープに伝え続ける伝道師"T・坂口"氏のレーベルNEURECより、LAFMS系重要作家Rick Pottsの"Greatest Hits"新装版が登場！！巨大な外箱付き豪華装丁！！
(こちらの音源の内容は2019年版と同内容となります)

Los Angeles Free Music Society（LAFMS）の創設者の一人であるRick Potts のアルバム “Greatest Hits” は2019年に発表された。版元は私のレーベルNEURECであり、Rick自らが十代から六十代までの間に作ったソロあるいはバンドの作品から最高のトラックを選びぬいたCD-Rである。この作品はRickのベスト盤であると同時にLAFMSを知るショー・ケース的なアルバムで、予想を超える好評を博した。その結果、「いずれはCD化する方が良い」と私は考え始め、“Greatest Hits” CD-Rの製作を一旦中断することとなる。

どのようにCD化しようか？リマスタリングは？トラック数を増やすかどうか？などと考えあぐねていたのだが、そんな時Rickがアイルランドの新興レーベルKrim Kramが彼のCD 2 枚セットを企画していると教えてくれた。Krim Kramを主宰するDavid Murphyは “Greatest Hits” とは収録曲が重複しないよう選曲を行ってくれるという。そして2023年の春、Rickの “Don’t Think” が出版された。その “Don’t Think” が出版された時に改めて実感したことがある。David Murphyのお蔭で、“Don’t Think” と “Greatest Hits” は相補的関係を持つアルバム同士となったということだ。

例えばRickは 5つのミニ・アルバムを制作していて、それらの内容はこの2つのコンピレーションに分配されている。従ってこれら両方が揃うことでリスナーは5つのミニ・アルバムに収められた殆どのトラックを聴くことができ、Rickの世界を堪能することができる筈だ。だが “Greatest Hits” のCD化再発には検討すべきことが残っていて、すぐには市場に出せない。どうしたものかと、考えあぐねた。

そんな折、転機が訪れる。2018年以来、大阪で『LAFMS 塾』というLAFMS関連の音楽を聴くシリーズ・イヴェントを行っている。各回でその日紹介した作家・作品を解説する冊子を作っているのだが、2023年8月20日にちょうどRick Pottsと “Don’t Think” を紹介するセッションを行ったばかりだった。その直後、常日頃交流して頂いている或る方から「その冊子を販売しないか？」という打診があったのだ。これを聞いて、「ならばこの際、冊子と “Greatest Hits” のCD-Rを同梱したボックスを作ってしまおう」と閃いた。

理想的には、このボックスと “Don’t Think” の両方を入手してくださればと思う。そうすれば、Rick Pottsが作って来た音楽を存分に堪能し、併せて彼の作品歴を理解して頂くことができる筈だ。ボックスには “Don’t Think” が収まる余裕があるので、もし “Don’t Think” を入手されたならば同梱して頂きたい。

ともあれ、“Greatest Hits” の CD 化再発は少し先となってしまうのだが、どんな形で実現するのかをゆっくりと考えて行きたいと思う。
文：坂口卓也