Label: EM Records - EM1081
これこそ冥界から人類救済のためにもたらされた福音の音楽である!ヨシ・ワダ探索の最後を飾る最終兵器「アース・ホルン」。アルプスホルン風(というにはジャンクな印象だが)の3〜10mの特殊な自作管楽器4本と電子音ドローンによる、展開もほとんどなく一定の長さの持続音をそれぞれの奏者が奏でるこの驚愕の内容は、まさにラモンテ・ヤングの70年代初頭までの演奏風景の延長にあるものだ。例えばラモンテの63年の作品「高圧線トランスの第2の夢」の84年の改作のCD(Grammavision R2-79467)を聴いてみればあまりに自明。しかもCDではダイジェストになっているが、実際は全体で3時間近くもかかるのだ!本作は1972年の作であるから、まさしくラモンテの共同体にいた時期であり、その影響をマトモに受けたことがうかがえる。
アルプスホルンという楽器での演奏というのも絶妙だ。その姿はすでに作品の本質を示している。まだ後年の「ラメント・フォー・ザ・ライズ・アンド・フォール・・・」のディープ・ヴォイスのような空間への眼差しは見られないが、バグパイプに移る前段階であることは間違いない。むしろ楽器として完成されたバグパイプに対して、本作の挑発的とさえ言える珍奇な楽器群とその演奏風景にはシアター的要素も感じられ、このあたりもラモンテの影があるのかもしれない。このあまりにも極北なリリースは、中途半端なつきあい方はできないであろう。その素晴らしさに涙し抱いて寝るしかない!35年の時を経て抱かれる日がやってきたヨシ・ワダは、本当に幸せ者である。
さて、最終兵器という言葉は、ただ最後のリリースという意味なのか・・・?EM RecordsとOMEGA POINTの連立政権がコトを穏便に済ますはずはなく、演奏すべてを収録したLP3枚組も併せて制作する。全部聴くことの価値はいうまでもなく、当時の記録写真はその大判ブックレットでこそ鑑賞に値する。マチューナスのポスターも原寸大サイズ!
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